先週、metabonesからヤシカ/コンタックスマウントのSpeed Boosterを買った。少し前にEFマウント用のが出たときに話題になったので知ってる人もいると思うけど、簡単に言うと以下のような特徴のある変わったマウントアダプターだ。

  • アダプター内に補正レンズを持っている。
  • 補正レンズはレンズを通った光を真ん中に集約して、イメージサークルを小さくする。
  • これによって焦点距離が0.71倍に縮小されたように画角が広くなる。APS-Cサイズのセンサーを持つソニーNEXシリーズ、富士フイルムXシリーズで35mmフルサイズに近い画角で撮影できるようになる。
  • 光を集約することで1段分明るくなる。
  • 補正レンズの効果で画質も良くなる。

なにそれすげーと思ったけどEFマウント用とかライカRマウント用だったのでスルーしてたら、C/Yマウント用も出たのでついポチってしまったという話。日本での代理店のデジタルホビーからもそのうち買えるようになるはずだけど、待ち切れなかったので直販で買ってしまった。サポートや調整なんかもやっているようなので、今すぐどうしても欲しいというわけじゃなければデジタルホビーから買った方が良いと思います。

ということで以下は実際に使ってみた感想。

画角

ふつうのアダプター
Speed Booster

1枚目はKIPON製の普通のヤシカ/コンタックスマウントアダプターで着けて撮ったもの、2枚目がSpeed Booster使用。どちらも使用レンズはPlanar T* 50/1.7、ボディはNEX-5R、ISO100、F11、絞り優先、WB太陽光。

写真が微妙だけど確かに画角が広くなってるのは分かると思う。焦点距離50mmのレンズをNEX-5Rに着けると、35mm判換算で77mm相当になる。で、Speed Boosterを介すと、50×0.71×1.53で54mm相当になる。これでもまだフィルムカメラやフルサイズ機で使うのと比べると若干画角が狭いのだけど、今まで中望遠相当として使ってたレンズが標準の範囲で使えるので確かに元の画角に近い感覚で撮れる。

明るさ

ふつうのアダプター
Speed Booster

こちらも同じく1枚目は普通のマウントアダプター使用、2枚目がSpeed Booster使用。どちらもPlanar T* 50/1.7、NEX-5R、ISO100、F8、絞り優先、WB太陽光。ただしシャッタースピードが違う。1枚目は1/1000秒、2枚目は1/1600秒。同じ絞り同じ感度でもSpeed Boosterを使用した方が速いシャッタースピードで撮れている。SpeedがBoostされている。

Speed Boosterの補正レンズが何をやっているかというと、「APS-Cは35mmフィルムより小さいからレンズを通った光の真ん中らへんしか使ってないんでしょ?だったら真ん中に光集めちゃえばいいじゃん」って感じのことなはずなので、集約された分だけ使ってる光の量が多くなる。metabonesの説明だと"Increase maximum aperture by 1 stop"とのこと。

何度か試してみたら、1/1000秒が適正露出だった条件で1/2000秒になったり、1/50秒が適正露出だった条件で1/100秒まで速くしても暗くなかったりしていた。低感度で思いっ切り絞り込んで撮ったり、室内で動きものを撮ったりしても手ブレしなくなったので、この差は結構でかい。思った以上に快適。その分屋外で開放近辺で撮ると軒並露出オーバー気味になるので、NDフィルター使うとかした方が良いかも。NEXのシャッタースピードもっと速くできるようになったりしないかなぁ。

描写

描写
解像感

"Increase MTF"とのことだったので、着けたら描写も良くなるとかほんとかいなと思ったんだけど、ヤシコンのPlanar T* 50/1.7、もともとシャープで発色もコントラストも優秀なレンズなので綺麗になったのかどうかいまいち分からない。ただ、「補正レンズ入ってるから画質悪くなるんだよね…」みたいなことにはならないのは確認できた。今受けてるオールドレンズの講座では「ダメレンズを着けるとまともなレンズになっちゃうんだよね」って言ってたので、もっとアレな玉を着けてみると変わるのかもしれない。

周辺減光

わざわざオールドレンズを使ってる立場としては、補正レンズが「元のレンズの特徴を消してしまわないか」ってのが気になるとこだけど、それに関してはちゃんと残してくれてる様子。面白いのは、Speed Boosterで着けると周辺減光が見られたこと。他のレンズでは出てないのでPlanarの絞り開放での特徴なんだろうけど、ふつうのアダプターを介して使ってたときはそれが気になった記憶が無いので、多分APS-Cだと目立たなかっただけなんだと思う。なるほど端まで使えるようになるとそういうとこも見えるようになるのか。

その他

注意点としては、買った直後の状態だと無限遠が出てなかったので、metabonesのサイトで解説されている手順で自分で調整しないとだめだと思う。最初無限遠どころか5mくらいから先はボケボケでなんだこれ…と思ったんだけど、書いてある通りにしたらちゃんと出るようになった。

あと、アダプター内部にレンズが入ってるため、普通のアダプターを使うときより慎重にやらないといけなくてドキドキする。デジイチでミラー干渉するって言われてるレンズは、おそらくSpeed Boosterのレンズにも干渉するので厳しい。自分の手持ちのレンズでは「後玉が大き過ぎてレンズに当たりそう」みたいなのは無かったけど、後玉の横に爪が飛び出してるのでこれが当たらないかの方が心配だった。「後玉がSpeed Booster内のレンズより小さくて爪が長い」タイプのレンズがある場合は気を付けて試した方がいいと思う。

撮り比べようと思って何度も付け外ししてて思ったのだけど、これ「ミラーレス機でフルサイズ撮影」と言うより、「明るくなって画角も広くなる逆テレコン」だと思っても大変に使い勝手がいい。コンパクトで安価な割に性能のいい85/50/28mmくらいのと普通のアダプター、Speed Boosterを持って行くと、それだけで127/92/77/54/43/30mmのレンズを持って歩いてるのと同じような感じになって結構撮影の幅が広がる。それなら、とさらに調子に乗って2倍テレコンのMutarとかM42-C/Yマウントアダプタとか着けてみようと思ったんだけど、そっちはレンズより若干大きく作られてるようで、普通のアダプターには着けられるけどSpeed Boosterには入らなかった。Speed Boosterは径がちょっとキツめ、Kipon製のCY-NEXは少し余裕がある作りみたい。

それでも少ない装備とコンパクトなレンズで色んな状況に対応できるのはフルサイズ機には出来ないミラーレス機のアドバンテージだと思うので、若干お高い(ってかレンズより高い…)けどSpeed Boosterは買いじゃないかなと思う。まぁ、純正のズームレンズ使えばもっと装備軽くなるんだけどね…。